15時ぐらいから山形美術館で「高橋コレクション・マインドフルネス2017」という展覧会を観にいく。
明日が最終日ということも手伝ってか、予想どおり美術館の駐車場は満車。
そもそも、ここの美術館の駐車場が狭すぎるという問題はあるのだが…。
という訳で、これも予想通り、臨時駐車場となっている昔、県立病院があった広場へ誘導される。
フライヤーによれば、今回の展覧会は鶴岡市出身の精神科医、高橋龍太郎氏の日本を代表する現代美術のコレクションを展示とある。
コレクションの収集は現在も続けられ、その数は2,500点を超えるという。
2,500という数字には驚愕。
現在、日本の現代美術のスターたちの大作はビックリするような価格で取引されている。
もう、投資は株より現代美術といった雰囲気すらある。
それを考えると、数もそうだがその財力にもビックリである。
まさしく日本の現代美術界の巨大なパトロンである。
これだけの数があれば倉庫で保管するにしても莫大な管理費用がかかるはずである。
もはや、美術館を建設し常設展示するというのも遠い未来ではないような気がする。
出展されている作品の作者を名前をみると、自分が知っているだけでも草間彌生、村上隆、会田誠、山口晃、名和晃平、奈良美智、蜷川実花、町田久美、etc…
と、今の日本の現代アートのメインストリームがほとんど揃っている。
現代アートに限らず美術館で作品を鑑賞するときは、作家の名前や、そのネームバリューからくるバイアスから逃れるように、平らかな目で見なければと心がけている。
かといって、何の知識もなく作品を観ると作品の持つ意味合いや、その奥行まではたどり着けない。
このあたりの塩梅がムズカシイ。
エントランスホールで最初に出迎えてくれるのは草間彌生の作品。
『ハーイ、コンニチワ! ヤヨイちゃん』と『ハーイ、コンニチワ! ポチ』という二つのオブジェ。
この作品は撮影が許されているため、作品の前で記念撮影をする女性が多い。
こういうのをSNS映えするというのだろう…。
パネルに書かれた解説にはコレクションは草間彌生から始まったとあった。
1階は草間彌生、村上隆、会田誠、山口晃、奈良美智といったビッグネームの作品が並ぶ。
個人的には山口晃や会田誠あたりが自分の好み。
山口晃は現代の街並みや都会の摩天楼を洛中洛外図風に描いた日本画が有名だが、今回の展示作品は戦国時代の武将が馬ではなくワイルドなバイクにまたがっている姿を絵巻物の日本画風に描いたもの。
彼の描く線は、鳥獣戯画のころから北斎漫画を経た現在の漫画などとも共通するものを感じる。
会田誠の作品は裸の少女二人がオオサンショウウオと戯れている大きな作品で、会田誠らしい作品だが、やっぱり、取扱注意といった感じ。
2階には芸工大にゆかりの作家の作品なども展示。
チームラボの『Nirvana』は伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」、「樹花鳥獣図屏風」をパネルに映したデジタルアート作品。
タイトルの『Nirvana(ニルバーナ)』とは、涅槃という意味である。
この作品も撮影はオーケー。
パネルの中では鳥やゾウが動いている。
人が近づくと人の影がパネルに浮き出る。
チームラボは、クリエーター? 企業家? の猪子寿之が代表を務めるチーム。
毛利悠子の『アーバン・マイニング-ツナ』は、廃品となった街路灯として使われた水銀灯が数台並べてあり、時たまチカチカと明かりが明滅するような作品。
コンセプトは現代美術の始祖、マルセル・デュシャンの『泉』とほぼ、同じでは?
名和晃平の『PixCell-Gazelle#2』は鹿の頭の部分を様々な大きさのガラスビーズで覆った作品。
鹿全体をガラスビーズで覆った作品が見たかった。
現代アートの展覧会を観ると、いつも思うことだが“美しい”というよりは“面白い”という価値観が幅を利かせているように思う。
今回も、出展されている作品の多くが“面白い”作品だったと思う。
個人的には「この作品って、本当にいい作品なのだろうか? 、自分はこの作品が好きなのだろうか?」といった気分を忘れないようにしている。
帰りに山口晃にポストカードを購入。
「注文・会田誠」というのが面白い。