岩手県立美術館
岩手県立美術館で『京都 細見美術館 琳派・若冲と雅の世界』展を観てきました。
以前から行きたいと思っていた美術館です。
ふらっ~と行ってきました。
これも高速道路1,000円乗り放題のおかげです。
家を出たのは10時少し前、自宅から一番近い山形自動車道の寒河江ICから高速に上がり一気に盛岡ICまで、ほぼ2時間半の道のり。
盛岡ICからは15分程で美術館に到着。
最後の盛岡ICの出口で少しばかり渋滞しましたが、それなりに快適なドライブでした。
お目当ては伊藤若冲
一応、今回のお目当ては伊藤若冲です。ネットをパラパラと眺めていたら岩手県立美術館「京都 細見美術館 琳派・若冲と雅の世界」展を開催しているのを知りちょっと観にいこうと思った次第です。
伊藤若冲は美術史家の辻惟雄が「奇想の系譜」という本で、構図や色使いが大胆な一風変わったアーティストとして曾我蕭白や狩野山雪らとともに紹介されてから脚光を浴びている江戸時代の絵師です。
若冲や蕭白の作品はデザインとしての面白さから、近ごろでは若いアーティストからも注目されています。
今回、ここで見ることができたお目当ての若冲の作品は2点のみ・・・。
ちょっと、残念・・・。
鈴木其一など琳派の豪華で精緻な作品群を眺め展示品も最後にさしかかる頃、若冲のニワトリが登場です。
2点とも彼が得意とするニワトリを描いたもので1点は若冲らしいコントラストの強い色彩で1羽のニワトリを精緻に描いた画。
もう1点は墨のみを使って数羽のニワトリを大胆に勢いよく描いた六曲一層の屏風でした。
この屏風からは単に墨絵というのではなく、書と日本画が融合したようなものを見ているような不思議な印象を覚えました。
吉田清志と舟越保武
企画展を見終えた後は、もちろん常設展です。
常設作品は各県の県立美術館同様、こちらも郷土のアーティストの作品がほとんどです。
萬鉄五郎は日本洋画界においては大家ですが作品として印象に残ったのは、吉田清志の日本の山々を描いた巨大な油彩と舟越保武の正統ともいえる美しい彫刻です。
吉田清志は初めて作品を見ましたが、日本の山々の本物のスケールにも負けないような迫力と鮮やかで温かな色彩に圧倒されます。
近寄って山々や木々をよく見るとキュビスムのような立方体のパーツで構成され、俯瞰で見るとこれが精緻な岩石や植物の陰影に見えるから不思議です。
舟越保武の彫刻は観ていて普通に美しいと感じます。
特に奇をてらう訳でもなくカタチとしてのある部分を強調したりデフォルメしたりすることもなく、敢えて言うならば、人物の自然の美しさを強調した作品といえる気がします。
大理石に刻まれた美人像やキリシタンの殉教者は観ているとそのナマの人物さえも想像してしまいそうです。
ちなみに舟越保武は天童荒太の小説の表紙などで作品がつかわれている彫刻家、船越桂の父親です。
駐車場にクルマを入れ、美術館の全体を見渡しながら玄関に向かうときには「あまり特徴のない普通の美術館だなぁ」という印象を持ちましたが、中に入って館内を一回りすると建物の設計のよさに印象は一変しました。
「いゃー、なかなかよい美術館です」