青葉城の足元にある仙台市博物館
「夏休みに入ったら、きっと混むだろうな」と思って、早速、行ってきました。
仙台市博物館で開催されている「古代カルタゴとローマ展」です。
家を向かったのは午後の1時をまわった頃。
国道48号線で関山峠を越え仙台西道路の最後のトンネルを越えて右に曲がり、広瀬川に掛かる大橋を超えれば、すぐのところにあります。
仙台市博物館はナポリにあるヴェスヴィオ山の噴火によって火山灰に埋もれた「ポンペイの輝き」展を観て以来、3年ぶりです。
そんなわけでカーナビに頼って「だいたい、この辺だったよなぁ…」なんて思っていたら仙台市博物館入り口の看板を見落とし、急な坂道を登って八木山ベニーランドの前を抜け、東北放送の前を下って青葉山を一周してようやく到着したのが3時少し前でした。
急な坂を上ったり下ったりで、改めて青葉城の本丸が急峻な要害に造られたお城だと実感したわけです。
博物館の入り口には人の姿もあまり見られず「遅めに行ったほうが、混まなくていいかなぁ」という思惑が当たりました。
二人並んだ、手持ち無沙汰そうな受付嬢に1,200円を渡してチケットを購入。
二階の展示室へ行くと、そこそこ混んでいる様子ですが自分のペースで観れないほどではありません。
海洋国家カルタゴ
カルタゴというのはアフリカの北部、現在のチュニジアの地中海に面したところにあった海洋国家で紀元前800年ぐらいに建国され、主に交易によって栄えましたがローマ帝国の征服により滅亡しました。
ちなみに象でアルプス越えを行ったハンニバルはカルタゴの将軍です。
なんでも37頭の象と五万の兵を率いて、アルプスを越えローマ軍と戦ったのだとか…。
展示場は大きく三つのセクションに分かれています。
最初に展示されていたのは当時のカルタゴの生活を偲ぶようなものが中心で身につけたアクセサリーやテラコッタのツボなどの生活用品のほかに、タニト神という♀の記号に似たシンボルを彫った石碑が数多く展示されていました。
次に展示されていたのがビーナスをはじめとした彫像群です。
十数体ほどあった胸像や頭部の像は、そのほとんどの鼻が欠けていたのが残念でした。
それら彫像の展示の中でも見事だったのは大理石で作られた「有翼女性神官の石棺」という石の棺おけの蓋に浮き彫りにされた、ほぼ人間と等身大の彫像です。
最後の展示室を飾っていたのが十数枚の大きなモザイク画です。
これは思いのほか大きく素晴らしいものでした。
海洋国家であったことを物語るように魚介類がモチーフになったものも多く、こうしたものはイタリアンレストランなんかに飾ったらとってもいー感じです。
これら太古の作品を観ながら「いーねぇ」なんて思ったりしますが、2000年以上前の地中海の周辺に住む人々もわれわれ同様「いーねぇ」なんて思っていたのかもしれません。
こうしたものを観ることは生きているうちに、連綿と続く人類の歴史というのを実感する数少ない機会なのだと思います。
そういえば、常設展で観た国宝となっている支倉常長の肖像画にも、ちょっとばかり感激しました。