映画『善き人のためのソナタ』を観る
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ドイツ映画の『善き人のためのソナタ』です。

ベルリンの壁崩壊以前の東ドイツの国家権力の不条理というものをとてもよく伝える作品。
ちょっとテーマが重いけど、よい映画です。
真面目できちんとした丁寧なつくりは、ある意味、とてもドイツ的。

舞台はベルリンの壁崩壊前夜である1984年の東ベルリン。
主人公はシュタージ(国家保安省)という東ドイツ国家秘密警察の局員。
彼が反体制派と見られている劇作家を盗聴する。
劇作家と同棲をしている女優に対する政府高官の横恋慕もあり、何とか反体制分子の証拠を挙げようと盗聴を続ける主人公の大尉。
彼は次第に盗聴する劇作家に共感していく。そこから色々な展開が…。
そんなこんなで、最後はベルリンの壁が崩壊して世界が変わっていくわけです。
『グッバイ・レーニン』という映画もありましたが壁の崩壊というのは、ドイツの国民にとって非常に多くのドラマを生んだんだなあと感じさせます。

主人公の国家秘密警察の局員を演じたウルリッヒ・ミューエは胃がんのため今年の7月に急逝。
この役者は旧東ドイツ出身で実生活でもシュタージの監視下にあったといいます。

監督、脚本はフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクというドイツとオーストリアの国籍を持つ1973年生まれの若い監督。
彼の初監督の作品ですが、ベテランの監督が撮ったのではと思うほど落ち着いた佇まいと風格を感じさせる作品です。
経歴には『遠すぎた橋』や『遠い夜明け』の監督で自身も役者として活躍するリチャード・アッテンボローに師事とある。
初監督作品にして第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞。

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