映画『アメリカン・ハッスル』を観る
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映画『アメリカン・ハッスル』である。
相変わらず映画は観ているが(DVDで《故にタイムリーな映画の話題は書けない》)、この半年で観た映画ではもっとも、気に入った映画だ。

最初のクリスチャン・ベールが髪の毛を増やそうとしているシーンを観たときは「こりゃ、さえない映画になりそうだ」なんて思ったが、あにはからんや…。
自分の映画の趣味にピタリとハマってしまった。
ハッスルというと、何か日本では「張り切る」とか「気力をみなぎらせる」といったニュアンスだが、アメリカでは微妙に違っていて「ごり押しする」「乱暴に押しのけて進む」といった意味になるらしい。
そう考えると、この『アメリカン・ハッスル』という映画のタイトルも実に納得だ。

物語は1978年に実際に起こったアブスキャム事件を元にしている。
アブスキャム事件とはFBIが、捕まえた詐欺師に司法取引を持ちかけ大規模なおとり捜査で多くの政治家を摘発したという事件のことらしい。
後日、その強引な捜査手法は問題となった。

驚くべきは主人公の詐欺師を演じたクリスチャン・ベールの太鼓腹だ。
クリスチャン・ベールといえば、バットマンの主人公のブルース・ウェインをクールに演じ、当然その肉体もヒーローを演じるのにふさわしい無駄のない隆としたものだったが、この映画ではだらしのない肉体と情けない頭髪をさらけだしている。
正直、クレジットを見るまでは、だれが演じているのかわからなかった。
クリスチャン・ベールは、現在、アメリカで一番、体重を増減できる俳優と言われているらしい。

ちなみに、役作りのために体重を増やしたり減らしたり、筋肉をつけたり脂肪をつけたりすることを、レイジング・ブルという映画で見事な筋肉のボクサーと肥満体の引退後を演じたロバート・デ・ニーロから「デ・ニーロ・アプローチ」というが、そのロバート・デ・ニーロもマフィアの大物役で登場する。
映画の性格にもよるがロバート・デ・ニーロがマフィアの役で登場するというのは「ここでデ・ニーロか」という感じで、それだけで、もう笑える。

他にもブラッドリー・クーパー、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンスといった脇役の俳優、一人ひとりの演技が光っている。
決して笑わせるような演技をしているわけでもない、でも、ストーリーの展開や人間関係などがあざとくて笑えるんだよね。
このあたりは監督のデヴィッド・O・ラッセルの力量が大きい。

もう一つ、映画を盛り上げているのが音楽だ。
音楽抜きにこの映画は語れない。
1970年代のアメリカのロックや、古いジャズがたくさん使われている。
オープニングで流れるSteely Danの『Dirty Work』。
この歌詞に、この映画のすべてが集約されている。

汚い仕事に手を貸すなんて 俺も相当愚か者さ これ以上 こんな仕事はしたくないのに 嫌な仕事を引き受けちまった ああ、そうさ

訳:加納一美

他にも、アメリカ、シカゴ、エルトン・ジョン、ウイングス、ドナ・サマー、トッド・ラングレン、デューク・エリントン、etcといった音楽がシーン、シーンで効果的に使われている。
音楽好きにも、本当にオススメの映画だ。

第86回のアカデミー作品賞を受賞した『ゼロ・グラビティ』も観たけど、この映画のほうが賞にふさわしいと個人的には思ったね…。

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