階段の踊場
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博物館の前の通り:仙台市博物館で『若冲がきてくれました-プライスコレクション・江戸絵画の美と生命-』展を観る。

博物館の前の通り

仙台市博物館で開催されている『若冲がきてくれました-プライスコレクション・江戸絵画の美と生命-』展を観るために高速バスで仙台に行ってきた。
11時過ぎに仙台市内に到着。
広瀬通りのバス停で降り、仙台市博物館まで歩いていく。
日差しは暖かいが風が冷たい。
広瀬川に架かる橋を越えるとすぐのところに博物館はある。
お昼時のせいか、駐車場はまだ空きがある様子。
チケットも並ばずに買うことができた。

途中、ふと思ったのだが、今回の展示はなぜ、宮城県美術館でなくて仙台市博物館だったのだろう…?
今回の『若冲がきてくれました-プライスコレクション・江戸絵画の美と生命-』という展示はアメリカの日本美術収集家ジョー・プライス、悦子夫妻が東日本大震災に心を痛め東北の人たちへの慰めと安らぎを贈ることができるのではないかという想いで企画された。
展示されている作品は無償で貸与され、収益金は復興支援のために寄付されるそうだ。

仙台市博物館正面:仙台市博物館で『若冲がきてくれました-プライスコレクション・江戸絵画の美と生命-』展を観る。

仙台市博物館正面

階段を上り2階の展示室に入ると最初に目に飛び込んできたのが長沢芦雪の「白象黒牛図屏風」。
屏風に入りきらないような構図の巨大な白い象と黒い牛。
白い象の背中の上には黒いカラス、黒い牛の傍らには白い子犬。
江戸時代中期のものとは思えないモダンなデザインである。
思わず、「これこれ」とにやりとする。
こういうのを期待していた。
まさに奇想の絵師の絵である。
伊藤若冲や曾我蕭白、長沢芦雪は奇想の絵師と言われる。
彼らは、それまでさほど注目されていなかった画家だったが美術史家の辻惟雄が「奇想の系譜」という本で再評価を行い、近年では美術史家の山下裕二あたりがさかんに取り上げるようになってから、やたら、注目されるようになったような気がする。
奇想といわれ、その発想やモチーフ、構図などが注目されることの多い絵師たちだが、基本的にみんな絵が上手い。
そうした奇想の絵師以外にも鈴木其一や酒井抱一など、琳派のきれいで美しい絵も展示されている。
若冲は別にして、葛蛇玉「雪中松に兎・梅に鴉図屏風」という6曲1双、曾我蕭白の「寒山拾得図」は印象に残った。
後半の展示は伊藤若冲の作品がずらりと並ぶ。

ポスター:仙台市博物館で『若冲がきてくれました-プライスコレクション・江戸絵画の美と生命-』展を観る。

ポスター

若冲の代表作とも言われる「紫陽花双鶏図」はやわらかな紫陽花を背景にカミソリのようにシャープな筆致で二羽のニワトリが描かれている。
コンディションもよく、時代を感じさせない鮮やかな発色のよさは最高級の絵の具を使っている故のことである。
そこからは京都の大きな青物問屋の長男として生まれたにもかかわらず、商売は弟にまかせ四十歳にして隠居した若冲の恵まれた生活ぶりもうかがい知ることができる。

最後に展示されているのは有名な「鳥獣花木図屏風」。
大きな6曲1双の鮮やかな色彩の屏風が、驚いたことに展示ケースではなく裸のまま展示されている。(前に近寄りすぎて、警備員から注意されている人がいた)
これは「ガラス越しではなくはだかのまま観てほしい」というプライス氏の希望だったらしい。
ドット絵のように四角の升目ごとに彩色されて描かれた絵は、なんとなくデジタル風だ。
最近、この手法は西陣織の正絵(しょうえ)と言われる図案がルーツではないかと言われている。
ちなみに、この説は金沢美術工芸大学の学生が卒論で発表し、今では定説となりつつある。
この絵はアンリ・ルソーの「夢」と比較されるが、全体の構成や大きさが似ているせいか、むかし観たゴーギャンの「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか」を思い出した。
よけいなことだがプライスコレクションの「鳥獣花木図屏風」は贋作という説をとる専門家もいる。

仙台市博物館で『若冲がきてくれました-プライスコレクション・江戸絵画の美と生命-』展を観る。

階段の踊場

ミュージアムショップではポストカードを買おうと思ったが枚数が多くなりそうだったので、思い切って図録を購入。

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