茨城県陶芸美術館を観る
茨城県陶芸美術館を観る
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正面玄関:茨城県陶芸美術館を観る
正面玄関

笠間日動美術館を観たついでに、そこからクルマで5分のところにある茨城県陶芸美術館に寄ってみた。
茨城県の笠間市は笠間焼という窯業の産地で知られる。
その特徴は「特徴がないのが特徴」といわれていて、民芸っぽいものもあるし、クラフト作品っぽいのもあるし、織部っぽいものもあるし、備前焼っぽいのもあるし、日用雑器あるし、オブジェもあるし…etc。

笠間焼は滋賀県の信楽焼の陶工の指導で江戸時代中期に始まった焼き物で、後に笠間の藩主の庇護により盛んになっていった。
笠間市の西の山を越えたところにある栃木県の益子は東日本で最大の焼き物の産地だがそのルーツは笠間焼にある。
ちなみに山形市の平清水焼も笠間焼の陶工を招き地元の土で焼き物を始めたのが起こりといわれている。
笠間芸術の森公園は小高い丘陵のにつくられた野外コンサート広場やイベント会場、窯業の指導所などがある文化施設だが、その広々とした公園の中に茨城県陶芸美術館はある。

駐車場から茶色い芝生の丘を階段で登っていくと目当ての茨城県陶芸美術館が見えてくる。
入り口を入ると広いエントランスがあり、受付で300円を払い展示会のチケットを購入する。
中では三つの違う展示会を行っていた。
一つは常設のコレクション展『近現代日本陶芸の巨匠たち』。
もう一つは地元の陶芸作家達の展示で『現代茨城の陶芸展 -時をとめて-』。
最後はアマチュアの写真家グループの写真展。

近現代日本陶芸の巨匠たち

1階の展示室の『近現代日本陶芸の巨匠たち -板谷波山/文化勲章受章者と人間国宝たち/松井康成-』展は板谷波山、松井康成といった地元にゆかりの作家の作品を中心に、酒井田柿右衛門や徳田八十吉、濱田庄司、富本憲吉、金城次郎など巨匠といわれる作家の作品が80点ほど展示してある。
さすがに、このあたりの作品はどれを観ても「すごいねぇ」と思わされる。
見応えがあった。

中でも松井康成の練上嘯裂文大壷(ねりあげしょうれつもんおおつぼ)「濤心」という壷は見た瞬間、驚いた。
「こんな造形が可能なんだ…」と
幅が40センチほどの壷なのだが、壷の尻から肩口そして口の方へ向かって波の様な亀裂の文様でびっしりと埋め尽くされている。
まるでささくれ立った丸いスズメバチの巣のとでもいうのだろうか…。
この作家の造形の面白さや色彩の妙は普通の陶芸を超えた自由やアイディアを感じさせる。

板谷波山は正統派といった趣の破綻のない丹精な美しさが特徴。
多分、写真で見たのではある意味、普通に美しいだけに、その本当の素晴らしさというのは伝わらないような気がする。
やっぱり、こういうものは写真で観ては判らない。
一流と言われるアーティストの作品を観て、常々感じるのは「神は細部に宿る」という言葉である。
いや、本当にそうなのである。

現代茨城の陶芸

いろんな施設がある:年月日茨城県陶芸美術館を観る
いろんな施設がある
敷地は広大:茨城県陶芸美術館を観る
敷地は広大

2階の展示場では地元の陶芸作家達の作品展示で『現代茨城の陶芸展 -時をとめて-』。
いろんな個性を見ることができる。
器や花瓶などベーシックな焼き物とオブジェなどは半々なぐらいの展示。
作品に面白さやアイディアを感じることはできるが、1階の展示室で見た巨匠たちと比べれば凄みや作品が持つチカラはあまり感じられない。
しかし、作家の立ち位置や目指すところも違うと思うので単純に比較することはできないのだろう。
中では猪本拓という作家の小さなレンガのような陶片を組み合わせて作ったオブジェは、目からウロコとでもいうのだろうか。
こういう、やり方もありかと思わさせられた。

貸しギャラリーでやっていたアマチュアの写真展はさらっと流して、同じ敷地内にある「笠間工芸の丘 KASAMAクラフトヒルズ」を物色。
ここは笠間の物産やお土産、地元の作家の陶芸作品などを販売していて道の駅のような施設になっている。
せっかくなのでオミヤゲでもと思いガウディのような雰囲気のクラフト作品っぽいぐい呑みを購入。

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