山形美術館で「世界の巨匠たちが子どもだったころ」展を観る。
本展は愛知県岡崎市にある「おかざき世界子ども美術博物館」が所蔵する、有名画家が子どもの頃に描いた作品を紹介した企画展。
15時過ぎぐらいから、行ったせいか、ゆったりと作品を観ることができた。
1階の第一展示室はピカソやエゴン・シーレ、ムンク、モネ、ロートレックなど文字通り、巨匠が子どもだった頃の作品が展示されている。
ピカソが子どもの頃、デッサンが上手かったというのは有名な話。
展示されていたのはピカソが十四歳の時に描いたという石膏像のデッサン。
正直、影の描き方がちょっと雑で、めちゃくちゃ上手いという感じではしなかった。
(巨匠の作品に、こんな風にいうひともいないだろうなぁ。スミマセン)
ムンクの作品は、本当の小品。
手のひらに乗るぐらいの大きさで、こんな小品が残っていたんだと、ちょっと驚く。
印象深かったのはエゴン・シーレ。
彼が十六歳の時に、姉のメラニー・シーレを描いたデッサンは、その後の作風とは全く違うオーソドックスなもの。
上手いと思った。
第一展示室の向かいにある第二展示室には、日本の作家の作品が展示されている。
奥村土牛、鏑木清方、平山郁夫、横尾忠則といった作家以外に、福田繁雄、田中一光などデザイナーの作品もある。
横尾忠則の作品は十六歳から二十歳のころのまでに制作したポスターが数点展示されていた。
これらの作品を見ると、もうすでにデザイナーとしては完成されていたとの印象を受けた。
やっぱり、天才は違うと!
二階の展示室で印象に残ったのは、地味だけど佐分眞と杉全直という作家。
佐分眞(さぶりまこと)の十四歳の時に描いた「風景(裏庭)」という水彩画の小品は、本当に小さい水彩画だが、テクニック的に完成された上手さがある。
杉全直(すぎまたただし)が十六歳の時に描いた「赤い塀のある風景」という油彩は、具象画ではあるのだが原色が大胆に使われていてフォーブっぽい作風。
十六歳でこれを描いたのはすごいと思った。
企画展のタイトルは「世界の巨匠たちが子どもだったころ」だが、中には二十歳越えてからの作品なども展示されていた。
「子どもだった頃」と謳うのだったら、せめて十六歳ぐらい、そうね、中学生の年頃ぐらいまでの作品じゃないかなと思ったりもする。