奈良に到着
JR法隆寺駅から関西本線で奈良行きの電車に乗り10分少々で奈良駅に到着。
時間は11時半を少々回ったぐらい。
ゴールデンウィークということもあるのだろうが、観光地だけあって駅前は華やいだ雰囲気がある。
とりあえず興福寺や東大寺のある方角へと向かって歩き始める。
粉ぬか雨がパラパラと降ったり止んだりという空で、少々天気が気になる。
途中で漢國(かんごう)神社という神社の参道に「饅頭の祖神 林神社」という気になる石碑を発見。
気にはなったけど、ほかにいろいろ見なくちゃいけないところがあるので写真だけ撮って先を急ぐ。
後日、調べてみたところ漢國神社の境内には室町時代のはじめに中国から渡来し、日本に初めて饅頭を伝えた林浄因(りんじょういん)を祀る林(りん)神社があるらしい。
昼には少し早いが近鉄奈良駅の近く、東向商店街にある「四季彩々 和食 一条」という店で松花堂弁当を頼む。
注文したものを待ちつつビールを飲んでいると、ふと「奈良はレンタサイクルを借りるといいですよー」と知り合いが言っていたことを思い出し、午後は自転車で周ることにする。
近鉄奈良駅でザックをコインロッカーに預け、駅の観光案内所でレンタサイクルの場所を聞く。
「この近くに、レンタサイクルありませんか?」と聞くと観光案内のオバちゃんは地図を示しながら
「ここと、ここと二つあります」
「どっちが、おすすめですか?」
「ここは、どっちがいいとか言えないので、直接、料金とか聞いて決めてください」との返事。
試しに「じゃあ、どっちが安いですか?」と聞いてみると間髪をいれず「ここ」と一方のレンタサイクル屋さんの場所を指差してくれた。
歩くこと5分のところにあるレンタサイクル屋さんで料金を聞くとスポーツタイプの自転車で夜まで借りて1,000円。
遅くなって店の人がいなかったら数字をあわせるチェーン式のロックだけして置いて行って下さいとの説明。
レンタサイクル屋さんから自転車で興福寺を目指すが、これから目指す場所はほとんが登りだという事に気づく。
興福寺
自転車をこぎ、およそ5分で興福寺到着。
境内の中に入ったのはいいが、どこまで自転車で行ってよいものか? とか、自転車をどこに置こうか? と迷いながら他の自転車が止めてあった国宝館の前に自転車を置く。
興福寺は藤原氏の開祖、藤原鎌足の奥さんが夫の病気回復を祈願して建立した寺とされ、藤原氏の氏寺とされる。
広々とした境内では中金堂といわれる中心となるお堂が工事中。
国宝の東金堂、五重塔、そして南円堂といわれる八角堂をさらりと拝観し国宝館へ向かう。
やはり、こちらの目玉は数年前に東京の国立博物館で公開されたときに若い女性が大挙して押し寄せたという阿修羅像だろうか?
拝観料600円を払い中へと進むが、中は多くの参拝客というか見学者で混雑していて一つひとつを丁寧に観ようという気分にはなれない。
見学者でイッパイの展示室を進むと後頭部の欠損した巨大な銅製の仏像の顔が現れた。
「むかし、教科書で観た顔だなぁ」
国宝の銅造仏頭(旧東金堂本尊)である。
こんなに大きいとは思わなかった…。
建物の名前が国宝館というだけあって、展示物の多くが国宝や重要文化財ばかりである。
国宝の巨大な千手観音に向き合うような形で、これまた国宝の木造金剛力士立像や阿修羅をはじめとした乾漆八部衆立像が展示してある。
木造の千手観音は高さがおよそ5メール少々ほどの丈六と言われる大きさのもので、お釈迦様の身長が丈六、つまり一丈六尺(約4.85メートル)あったということから、ほぼお釈迦様と等身大の仏像ということができる。
お釈迦様は大きな人だったのだねぇ…。
ちなみに丈六より大きい仏像を大仏というらしい。
仏像界のアイドル、阿修羅像は150センチぐらい。
華奢という言葉がぴったりの、棒のような腕で印を結んでいる。
阿修羅像に限らず奈良時代に作られた乾漆八部衆立像は、どれも造詣が写実的で現代的な印象すら与える。
こういう博物館のようなところに展示された仏像というのは宗教上のイコンというよりは芸術品といったノリに近い感じで、その展示方法には少々、違和感を感じる。
とは言え、暗いお堂の中で近寄ることもできずに見学するよりは、よいのかもしれない…。
みたいなことを思いつつ、興福寺を後にし東大寺に向かうことにする。