宮城県美術館で開催されている「フェルメールからのラブレター展」を観てきました。
美術館に着いたのは午後の3時をまわった頃。
フェルメールは2008年に東京都美術館で行われた「フェルメール展」を観て以来、三年ぶりです。
東京都美術館で観たときはものすごい混み具合で鑑賞したとまではいかず、チラ見した程度だったので「きっと混んでいるだろうな」との思いから少々、遅めの時間に行ってみました。
美術館の2階にある展示室の入り口をくぐると、やっぱり混んでいます。
それでも並んで待つほどではなく、人だかり越しですがちゃんと観ることができました。
それにしてもなぜにフェルメールはそんなに人気があるのでしょう?
なかには、彼のすべての作品を観るためヨーロッパやアメリカの美術館巡りをしているような人もいるようです。
確かに彼の代表作の「真珠の耳飾の少女」はモナ・リザと並ぶような、とても印象深い美術史に残る特別な作品だとは思います。
その「真珠の耳飾の少女」が展示されるなら別ですが、「手紙を書く女」の黄色のガウンを着た女性は決して美人ではないし…。
「青衣の女」だって、スタイルのよい美女が描かれているわけではありません。
それでも、多くの人をひきつけるのは何か秘密があるに違いありません。
展示室にはフェルメールと同時代のオランダの画家の作品が数多く展示してあります。
17世紀のオランダの庶民の生活を描いたものや肖像画がほとんどですが、どれも陰翳が深くバロック様式らしい大げさで芝居がかっかったシーンが多くこれぞ古典といった印象です。
そうしたなかで最後の展示室にはフェルメールの「手紙を読む青衣の女」、「手紙を書く婦人と召使」、「手紙を書く女」の三点が展示してあります。
「手紙を書く婦人と召使」は以前、観た東京都美術館での「フェルメール展」でも展示されていました。
「手紙を読む青衣の女」は、縦46.6センチ、横39.1センチといった大きさ。
オランダで修復後、本国に先駆けてのお披露目だそうです。
そのせいもあってか「手紙を読む青衣の女」のブルーはよけいに輝いていたような気がします。
本作品や「真珠の耳飾の少女」などで使われている深く鮮やかなブルーは「フェルメール・ブルー」といってラピスラズリという群青色の鉱石を粉末にした顔料を使って描かれました。
ラピスラズリは当時、純金と同じぐらい高価だったそうです。
彼の描く絵は日常の光景を切り取ったポートレイトのような構図とおだやかな光のため、コテコテの古典から一歩踏み出した印象派にも似た雰囲気があります。
フェルメールの作品は世界に三十数点しか残っていないということも、彼の人気を高めている一因かもしれません。
ちなみにスカーレット・ヨハンソンが主演したフェルメールを描いた映画、『真珠の耳飾の少女』はオススメです。