三年に一度、横浜美術館で開催している現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ」に行ってきました。
ちなみに二年に一度はビエンナーレ、三年に一度はトリエンナーレ、四年に一度はカドリエンナーレ。
イタリア語です。
現代美術は嫌いじゃないのですが、実のところ少々、腰が引けるというか億劫というか面倒だという気持ちがあります。
インスタレーションという絵画でも彫刻でもない空間全体を芸術として体験させる作品は列を作って並ばないといけなかったり、オブジェや絵画は解説を読まないと「何、コレ?」みたいなのが多いし、映像作品はちゃんと鑑賞するのに時間がかかったりするので、遠いところから行って駆け足の見学というのにはあまり向かないのですね。
また、知っている作家があまりいないということや作品によっては芸術としての普遍性が感じられないということも一因かもしれません。
でも、現代美術はなかなか刺激的です。
やっぱり絵画や彫刻では伝わらない(伝え難い)アイディアがそこにはあります。
現代美術は作家のアイディアに注目して観てみましょう。
美術を鑑賞するコツは、理解しようなどという尊大な気分で作品に接してはいけません。
面白いとか、かっこいいとか、これはどうなっているのとか、よくわからんとか、なるほどとか、ただ何かを感じればよいのです。
考えるな! 感じろ!
…って、まるでブルース・リーの名言のようですが、まぁ、もちろん考えてもいいのですけどね。
会場はメイン会場が横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫になっていて、とりあえずは横浜美術館を目指します。
朝の9時に東京のホテルを出て会場の横浜美術館に到着したのは10時半ぐらい。
横浜美術館は2005年に開催された「ルーブル美術館展」を観て以来ですね。
チケット売り場へ行くと係員から開場は11時からだと聞かされ、しばし、待つことに。
開場まで美術館前の広場に展示されたウーゴ・ロンリディノーネの月の出という作品の写真を撮ったりチケット売り場の列に並んだりしながら待つこと20分。
後ろにはすでに、えらく長い列が続いています。
早めにホテルを出て正解でした。
長い列の後に続いて玄関に入るとエントランスホールには映画のフィルム缶の中に布の切れ端しをフィルムのように巻いた作品を数多く渦巻き状に展示したインスタレーションがあります。
中国の作家の作品のようですが「なんじゃ、これっ?」という印象です。
作家の名前も知らないし解説を読まないと基本こんな感じです。
解説を読むと布の切れ端は人が着ていた服(下着からアウターまで)をそのまま細長く切って缶に詰めたもののようです。
そのことを知ると、展示されたフィルム缶はその服を着ていた人や、その人の人生を想像させるスイッチとなる訳です。
…で、結果、「ふーん、なるほど、アイディアだねぇ」となります。
タイトルを見たり解説を読まないとわからないアートというのは「そもそも、芸術としてどうなの?」という気持ちもあります。
一方で「感じたままが作品の価値であって、理解する必要はないんじゃないの」という論もあります。
しかし、分かったほうが面白いのも確かです。
んー、むずかしいですねぇ…。
でも、まぁ、とりあえずは感じたままでいーのではないでしょうか?
今回の展示を観ると現代美術とはいえない妖怪に関するコレクションの展示や隕石などの展示もあり現代美術にアレルギーのある人でも十分楽しめる内容だと思います。
日本人では横尾忠則や荒木経惟などは大きく取り上げられていましたが、展示する作家の人選はどうやって決めるのかしらん?
気になったのは石田徹也(惜しい人を亡くした)、金 理有(宮崎アニメに登場しそうな感じがカッコイイ)、マッシモ・バルトリーニ(アイディアが面白い…)、ミルチャ・カントル(アイディアが面白い…)、ダミアン・ハースト(これがダミアン・ハーストか!)、佐藤 允(自分にも描けそう → ムリムリ)、チョン・ジュンホ(深遠だねぇ…)、ジルヴィナス・ケンピナス(近づいてビックリ)あたりです。
カフェで軽く昼食をとって、次は日本郵船海岸通倉庫へ向かいます。
美術館からは地下鉄に乗って30分弱ぐらいでしょうか。
日本郵船の倉庫を間借りしているだけあって入り口はいたって普通というか、普通以下という印象です。
まぁ、これは仕方がないでしょう。
気になったのはツァイ・チャウエイ(深遠だねぇ…)、ジュン・グエン=ハツシバ(アイディアが面白い…)、クリスチャン・マークレー(ピンクフロイドのtimeか?)、シガリット・ランダウ(不思議…)あたりです。
倉庫から海側に出れば横浜港の埠頭も見えます。
個人的にはもっと日本人の若手の作品とかを観たかったですね。
評価の定まらない作家の作品を展示するのは勇気が必要ですが、せっかくの現代美術のお祭りなのだから、もっと若手の作品なども紹介してもよいような気がします。
帰りはせっかくなので、会場のすぐそばにある日本郵船歴史博物館をちょっとだけのぞいてみました。
いつかは、客船で海外旅行でもしてみたいものです。