国立新美術館で行われている「シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―」を観てきました。
東京の六本木にある国立新美術館は2年前にピカソ展を観て以来です。
シュルレアリスムは日本語では超現実主義といい絵画だけでなく文学、写真、映画など様々な芸術に影響を与えた芸術思想です。
有名な画家にはサルバードール・ダリやルネ・マルグリット、ジョアン・ミロなどがいます。
ダリのぐにゃりとした時計が木にひっかっていたり、マルグリットの城が建つ巨大な岩が海に浮かぶ絵やミロの自由で抽象的でよくわからない作品などが思い出されますね。
シュルレアリスムは1910年代半ばに起こったダダイスムといわれる既成の価値観や常識に対する否定、攻撃、破壊といった芸術思想をルーツとします。
そして1924年にフランスの詩人アンドレ・ブルトンが書いた「シュルレアリスム宣言」で「シュルレアリスム」が定義されます。
それには「理性による支配をまったく受けないところで、また、あらゆる美学的、道徳的先入観の外で、記述された思考である」と記されています。
また「シュルレアリスム」からは「オートマティスム」や「フロッタージュ」、「コラージュ」など、表現するためのさまざまな独自の手法が生まれました。
以上のような訳で「シュルレアリスム」はなかなか理屈っぽく作品だけで完結しない感じというか、タイトルや作家の思想など背景を知ってやっと完結するようなアートではないのだろうかと…。
そういう意味では、現代アートのさきがけなんでしょうね。
とは言うものの、個人的には何も考えずシンプルに「この作品、好きとかこの作品は嫌いとか」観て楽しむだけで十分です。
会場は日曜日の午前中にもかかわらず、人でそこそこ混みあっています。
「シュルレアリスム」の絵画は想像力を超えた発想やインスピレーションが見れてわりと好きなジャンルです。
会場では絵画や写真、オブジェの展示だけでなく、映画なども上映しています。
なかでも『アンダルシアの犬』というルイス・ブニュエルが監督した映画が観れたのは収穫?でした。
この作品は女性の眼球を剃刀で切るシーンが有名で、写真でしか知らなかったのですがやはりこのシーンは衝撃です。
15分ちょっとの短い短編ですが特にストーリーはなく多重露光を効果的に使ったシーンがいくつか収められた作品ですが、映画が撮られた1928年当時は相当インパクトがあったのではないでしょうか?
今で言うCG映画のさきがけのようなものですね。
いつものように、帰りは地下にあるミュージアムショップに寄りました。
ここは「スーベニア フロム トーキョー」というブランドのセレクトショップになっています。
デザインにこだわった雑貨や衣類、若手アーティストの作品などを売っているのですが全体に値段は高めで六本木価格といった感じがします。
置いてある商品は「本当に、この商品がここのオミヤゲになるの?」といったモノも多く、商品のセレクトに少々疑問を感じる部分もあります。
佐藤カシワといったアドバタイジング・アーティストがオモテにですぎてる感じもするし、ポール・ヴォキューズといったミシュランの三つ星レストランも入っているし…。
ここの美術館は六本木という立地的なこともあるせいか、どうも商業主義的なビジネスの香りが鼻につきます。