福島県立美術館で『アンドリュー・ワイエス展』を観る
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福島県立美術館らしい企画展

福島県立美術館で『アンドリュー・ワイエス展』を観る

『アンドリュー・ワイエス展』

今回のワイエス展が福島県立美術館で開かれると知って、まず浮かんだのは「福島県立美術館らしいなぁ」という感想です。
それは、この美術館にはお似合いの企画だと思ったからです。
初めて福島県立美術館を訪れたのは昨年の3月でした。

そのときに常設展で目を引いたのがアンドリュー・ワイエスというアメリカの作家が描いた数点の作品でした。
作品はアメリカの牧歌的な光景や人間を写実的に描いたものです。
しばらくの間、写実的な絵に対しては写真という表現手段があるのに、いまさらリアリズムというのもないものだと思っていたのですが、このときにワイエスの絵をみてそうでないことに気付かされました。
リアリズムとはいえ、その作品はしっかりと作者の思いや主観というフィルターを通した表現なのですね。

今回、観たワイエス展は作品の展示数自体は割と多かったのですがタイトルに「Study for ●●●●」という風に「●●●●のための習作」といった作品が多く最後の完成した作品にいたるまでのデッサンやスケッチ、完成品を描くための練習といったものなどが多く、少しばかり物足りなさを感じる部分がなきにしもあらずではありました。
もっとも展覧会のサブタイトルには「創造への道程」とあるので、確かにこれらの習作を観ていけばどのように作品が完成していくのかが、よくわかる展示にはなっていたと思います。

アメリカの自然主義的な風景

作品の多くは彼が生活を送った住まいやメイン州やペンシルヴェニア州の自然、そして友人や家族を描いたものがほとんどです。
意外だったのが、油彩の作品がまったくなく多くが水彩やテンペラといわれる古典技法で描かれたものだということです。
テンペラ画はルネッサンスの宗教画などで多く見られた技法で卵の黄身を顔料の定着材として使ったものです。
彼の描く絵はアメリカの国民的画家といわれるだけあって、とてもアメリカ的です。
しかし、それらにはアメリカ特有の天真爛漫といった明るさはあまり感じられません。
水彩などでは、ちょっと水墨画にも通じる部分があると感じたほどです。

BGMにはパット・メセニーのECM時代の作品なんかがピッタリです。
ちなみにワイエスは今年の1月16日に91歳で亡くなりました。
合掌。

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