東京国立博物館で「大琳派展-継承と変奏-」を観る
東京国立博物館で「大琳派展-継承と変奏-」を観る
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開館前から長蛇の列:東京国立博物館で「大琳派展-継承と変奏-」を観る
開館前から長蛇の列

東京国立博物館で開催されている「大琳派展-継承と変奏-」に行ってきました。
混雑することは予想できたので、上野の国立博物館に着いたのは開館直前の時間。
にもかかわらず、すでに会場入り口からは長蛇の列。

結果、見学ルートの作戦変更です。
これは博物館や美術館の開館時に長蛇の列が続いているときなど有効です。
だいたい、人というものは展覧会の時には順番どおりに観たいと思うのが人情です。
そのため、開場してすぐというのは入り口付近の目玉展示品のところは黒山の人だかりですが中盤から後半にかけてはあまり人がいないというケースが多いのです。
そこで、混雑時の私の方法は会場内に入ったら早足で最後まで見てしまう。
そして、中盤から後半にかけての目玉展示品をじっくりと鑑賞し、そのあとはゲリラ作戦で人が観ていない隙を狙って前半の目玉展示品を鑑賞していくという鑑賞方法です。
まあ、落ち着かないことは否めませんが、それでも黒山の人波に揉まれながら流されて観ていくよりはよほどマシです。

そんな訳で、目玉の尾形光琳による風神雷神図はじっくりと落ち着いて観ることができました。
この作品、美術の教科書にも載っておりました。
CMやポスターのモチーフとしてもよく使われます。
二曲一双のこの屏風、現物を観ると思いのほか小さいなという印象です。
屏風自体の高さは160センチぐらいでしょうか。
保存状態もよく、使われている赤がすごく鮮明で印象的です。
この風神雷神図、オリジナルは俵屋宗達という室町期の絵師の手になるものです。
それを光琳が模写し、その光琳の模写を酒井抱一が模写しました。
という訳で、この絵はいろんな人が模写しております。
実を言えば個人的には光琳と俵屋宗達の二つの風神雷神図を同時に見比べることができると思ったのですが…。
しか~し、展示してあったのは光琳と鈴木其一のものでした。
開催期間のあいだには俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一の四枚の風神雷神図がそろって展示される期間もあるようです。
ん~、残念! 

宗達の風神雷神図は観ることができませんでしたが、代わりに「白象図杉戸」が展示されていました。
この作品は養源院という豊臣秀吉の側室、淀君が創建したお寺が所蔵しているもので、杉の白木の戸に大きな白い象を描いたものです。
これなどは、意匠というものを意識させるモダンな印象の作品です。
大胆にデフォルメされた象と、その輪郭線を描かずに杉板の地を輪郭線として見せるあたりの工夫は現代のアーティストと同じような感性を感じさせます。
また、五千円札にも描かれている光琳の燕子花(かきつばた)図六曲屏風などもデザインを感じさせる作品です。
この作品は数年前に東京の根津美術館でも観たことがありますが、青と緑が相変わらず鮮やかでした。

大琳派展というだけあって、展示物もバラエティに富んでいます。絵画はもちろん、扇子や文箱等の工芸品、着物などエトセトラ、エトセトラ、…。
こうしてみると琳派というのは空間デザインをやったり、プロダクトデザインをやったりファッションデザインをやったりと日本のデザイン工房だったのですね。

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