米沢市上杉博物館へ行く。
お目当ては国宝にもなっている洛中洛外図屏風の特別展示である。
洛中洛外図とは京都の市中と町の外を俯瞰で描いた日本画のことである。
洛中洛外図といわれるものはいくつかあるのだが、ここの洛中洛外図屏風は上杉本と呼ばれ、あの織田信長が上杉謙信に贈ったものだとされる。
もっとも、こうした説に異を唱える研究者もいる。
常設展や同時に行われていた企画展を観た後に観ようとしたのだが、狭い博物館にもかかわらず、どこに展示してあるのかわからずうろうろしてしまった。
受付の裏の奥まったところに、そのお宝は人目を避けるように展示されていた。
部屋に入るとすぐ左手にそれは展示されていた。
最初の印象は屏風の左端しか視界に入らなかったため、その高さしか感じられず「意外と小さいな」というのが最初の印象だった。
確かに高さは160センチと、「大きさ」を感じさせるものではないのだが横に広がる屏風全体をみると、その印象は「意外とでかいな」に変わった。
信長が謙信に贈った屏風である。
思わず戦国時代に思いを馳せてしまう。
400年を超える年月を経ていることを考えるとものすごく状態が良い。
人々は2センチぐらいの大きさで描かれている。
見る位置から屏風まで離れていて、目を凝らしてもよく見えないくらいだ。
人がちゃんと見える程度には手前に展示してもらいたいものだ。
絵の大半を金色が覆っているのだが、この金色というのが効いている。
一見すると金色の雲が多く、鬱陶しく感じるのだが、これは雲であって地面なんだと思うと妙に視界が開ける感じがする。
これには400年も前の作品だが意匠というのを感じる。
一緒に展示していたものに織田信長が上杉謙信に宛てた手紙というのもあった。
歴史というものをリアルに感じた時を過ごすことができた。
帰りにミュージアムショップで高さ10センチぐらいの洛中洛外図屏風のお土産を購入する。